古語曲解

暇人の妄言なので、受験勉強の参考にしないようにね

試験に出る 行脚

行脚

今回は、まともに受験に使えますよ

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「行」の字は、小学2年生で習います

行事とか行動とかの音読みは、何年生で習うのかな

で、「行脚」の読みは? 中学受験レベルかな

「行」の音読みは3種類揃ってます

行事 ギョウ・ジ 呉音

行動 コウ・ドウ 漢音

行脚 アン・ギャ 唐宋音

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「行脚の読みはアンギャ」と知ってるだけだと、

それは、単にクイズの答えを暗記してるだけで

知識の拡張性がない

高校入試から大学入試までを見据えて「関連性」をもって

広く・深く 連想させて覚えよう

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「行」をアンと読む例

行燈(アン・ドン)、行火(アン・カ)、

行在所(アン・ザイ・ショ)、行宮(アン・グウ)

唐宋音の特徴のひとつは、

鎌倉時代以降に禅宗を受容する際に移入した読み、ということで、

禅宗用語や仏具・日用品にからむ言葉が殆ど、ということ

行燈や行火の「行」には

固定していない、可搬式、という意味合いがある

一方、行在所は、旅行中の天皇の滞在場所、という意味で

行脚と共通する「移動の最中」という語感があります

「行宮」は、行在所と同義ですが、

システムというより「建物」に重点がある言葉です

「行宮」は、訓読みでは「かり・みや」ですな

と、いうことで、「行」には、「仮の」という意味もあるわけ

行燈や行火も、「本格的な物ではないよ」ということかも知れない

行脚は、「本拠地を離れて漂泊中」ということか

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拡張1 高校入試レベル

国史元朝

マルコ・ポーロは滞在した杭州のことを「キンサイ」と呼んでいた

これはなぜ?

杭州南宋では首都であったが、

南宋では本来の首都を、北宋時代の開封であると考えており、

杭州を「行在」アンザイと呼んでいたことによる

アンザイがキンサイに訛ったわけです(本当かね)

この南宋を元が滅ぼしたわけですな

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拡張2 大学入試レベル

行在所からの連想

元朝の役所に、「行中書省」というのがあります

中央官庁の地方出先機関です

略称は「行省」、これが後に、地方区分の「省」につながっていく

じゃ、行中書省って、なんで中書省の前に「行」の字が付くのか?

元朝」ってのがミソです

元朝は、征服王朝で、金や南宋を侵略したわけですが

侵略して手に入れた新領土を統治しなければならない

そのために、遠征する将軍には、行政権も与えられた

将軍は、侵略しながら征服しながら、

その行政府(中書省)を移動させていった

だから、行・中書省なんだな

ここには、「移動する」という意味と

「仮の」という意味が入っております